巨人の星(栄光の星編)第169話 「謎のアンダースロー」後編
大リーグボール3号は完成した
それはオールスターゲーム第2戦で、そのベールを脱ぎ
パの強打者たちのバットをかすらせもしない
恐るべき魔球だった
だが見かけが地味なだけに、世間も選手たちですら
魔球かそうでないかの判断ができていなかった
そんな中、川上監督はペナントレース終盤を見据え
アトムズ戦での飛雄馬実戦投入を決めた
オールスターゲームも終わり
後半戦のスタートとなる後楽園でのアトムズ(現ヤクルト)戦
巨人の先発高橋一三は7回まではなんとかアトムズ打線を
抑えていたが、この回崩れる
二死からヒットを許し
次の誰だかわからんバッターにもヒットを打たれ
二死一三塁のピンチ
点差は不明だが、一打逆転らしいので
多分巨人が1点リードか?
「力投を続けていた高橋一三ですが、ここらが限界
ですかねえ、青田さん」
「ええ、しかし巨人は毎度おなじみの弱いリリーフ陣
ですからねえ・・・代えるとしても駒がありませんな」
「ピッチャー交代っ!
リリーフ星っっっ!」
「えーっ、星かよ」
「確かにオールスターでは好投したけど
あれマグレっぽいよな・・・・」
『やっとこのマウンドに戻って来たぜ!』
「星ですか・・・・私ゃあんまり関心しませんね」
「ほう・・・と言うと?」
「オールスターのあんなアンダースローなんか実戦では
通用しないですよ、お遊びのオールスターと一緒に
したら野球舐めてます」
「そりゃ手厳しいですね・・・・」
「へへっ、星か・・・・
またアンダースローならじっくり見ていけよ
突っ立ってりゃ四球だからよ」
完全にバカにしてるアトムズの選手たち
だが川上監督はそれを見て笑う
初球はやはりアンダースロー
ヒュワワワワワワワワワン
パスッ
初球は外に大きく外れてボール
「おおっと、星っ
またしてもアンダースローです!」
「全く野球舐めてますな」
『クソッ、なんで思った通りストライクが
取れないんだっっっっ、、、、』
しかし球速がどのくらいかわからんが、おそらく
70㎞/hほどのスローボールなのに、それほど山なりにならず
重力無視してキャッチャーまで届くのが謎w
3球連続ボールであっという間にスリーボールに
これには観客もブチギレ
飛雄馬に激しい野次が飛ぶ
「このヴォケー、上から投げろよ上からっっっ」
しかし飛雄馬は構わずアンダースローを続けた
4球目でようやくストライク
しかし「こんな球その気になればいくらでも打てるぜ」と
平然と見逃すアトムズのバッター
「星、ようやくストライクが入りましたが
ほぼド真ん中の危ない球でした」
『なるほど・・・これが例のアンダースローか・・・』
『一見ガキでも打てそうな球だが飛雄馬よ
わしにお前の開発した3号の威力、見せてみい!』
ピカーーーーーーーーーン
投じたド真ん中の球はバットに当たらず
強振したバッターは空振りして尻持ちをつく
「こっ・・・・これかっっっ
大リーグボール3号」
クグッ
『星はプロの投手失格ですな
審判は注意しないといけない』
「何を言っとるんだこのバカ解説者は」
「フェンスギリギリでもスタンドに入ればホームラン
遅い球でも打者を打ち取れば、それは立派に魔球なのだっ」
「しかし飛雄馬め・・・・
これでもし全てど真ん中に投げたら見逃せばストライク
振れば当たらないという最強の魔球じゃないか・・・
これほど厄介な球はないぞ、、、」
ちなみに余談だが、バントホームランなどでおなじみの
ファミコンゲーム、燃えろプロ野球の最初のやつに
あんまり知られていないが大リーグボール3号を投げる
投手がいる
Gチームリリーフのキノシタという左投手だ
対コンピューター戦に限るが、左打者のインコースギリギリに
シュート系の球を投げると打者(右打者にも有効)は見逃せば
ストライク、振れば必ず空振りという恐るべきバグ技があるのだw
特にスタミナが切れてヘロヘロボールしか投げられなくなった時
燃えプロ最強投手になる(リリーフなのでスタミナはすぐ切れる)
先発させればほぼ完全試合達成(苦笑)
さて大リーグボール3号で7回を抑えた飛雄馬
やはり左腕を気にする
「どうした星?」
「い・・・いえ、なんでもないです」
次の回もイニング跨ぎで続投を命じられる
7回裏の巨人の攻撃もあっさり三者凡退
再び飛雄馬がマウンドに上がる
魔球の存在を知らないファンからはモーレツな
ブーイングを浴びせかけるが
飛雄馬は苦笑い
アトムズの監督(別所さんか?)は、打者(福富邦夫らしい)に
待球作戦を命ずるが・・・・
「青田さん、星はひょっとして大リーグボール3号を
投げているんでは?」
「ハッハッハッハそんなアホな事ないですよ」
しかし福富に対しては3球ともド真ん中
それをことごとく空振ってしまう
結局三振に倒れた福富
「そ・・・そんなバカな
なんであんな球にかすりもしないんだ・・・・」
「信じられません、まるでオールスターの野村
アルトマン、張本の三者連続三振の再現ですっ!」
「・・・・・・・」
スルン
一見子供にも打てそうな球にバットを当てる事すら
できない現象に困惑するアトムズの選手
「またも三振っ!
こ・・・・これはもはやマグレとは言えません
星投手のハエが止まるようなスローボールに
アトムズの打者はかする事すらできないのですっっっ」
「見逃せばストライク、振れば空振り・・・・・・
打者にとってはまさに絶望的な魔球じゃ」
「やつめ・・・・ついにやりおったか・・・・・
この父を越えたわい・・・・・」
結局この回も三者連続三振で抑えた飛雄馬
「よし、よくやったぞ星!
とりあえずこの回で交代だが、アトムズはかなりの
精神的ダメージを負ったはずだ」
「なっ・・・・なんだとっ!
ボールがバットを避けただとっっっっ!?
そんなバカな・・・・・」
「いや、大リーグボール1号2号の事を考えれば
あいつならそんな球も投げかねん・・・・・・
恐ろしいやつだ。。。。」
「星、テストは合格だな
次は最初から行ってもらうぞ!」
「最初から?」
「大洋戦ではお前が先発だ!
たのんだぞ」
「せ・・・先発!
大洋戦で・・・・・という事は左門と対決か・・・」
「青田さん、この現実を叩きつけられた以上やはり
星は大リーグボール3号を・・・・・」
「いや、私にはまだ信じられませんね
3号にしても作った期間が短すぎます・・・・」
「あんな人を食ったようなスローボール・・・・
急造のアンダースローがプロに通用するなど
あってはならんのです、、、、
先発完投でもしない限り認めたくないですな」
「バカかこいつ!
実際に打てん以上、それは魔球なのだ」
「ハッハッハッハッハ、飛雄馬よ
このわしを唸らせる日が来ようとはな・・・・」
「よくぞここまで・・・・・
わしは今モーレツに感動しておる」
「これをもって、わしの首を取りに来るがよい
じゃがわしとてむざむざと首を取られる気はないわい
この星一徹・・・・」
「最後の野球生命をかけてもお前に挑んでやるまでよ」
「返り討ちにしてくれるわいっっっっ」
ブーンブーンブーン
「次は左門が相手か・・・・・・」
「しかし俺の大リーグボール3号は究極の魔球!
左門花形は勿論、父ちゃんですら打たれる気がしねーぜ」
「登りつめてやるぞっ
巨人の星にっっっっっ」
巨人の星(栄光の星編)第170話 「覆面魔球」
につづく
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