ファミリーコンピュータを愛す・その35

そして1990年2月11日、遂にドラゴンクエストIVが発売を迎える事となった。実はこの時も母親のコネが使えたのであるが、それはさすがにクラスメイトに悪いと思った私はあえて早朝から並ぶ事にした。しかし、あいにく寝坊してしまい、ついた時にはすでに100人以上の行列、という訳で絶望の淵に叩き落とされた私は、最後の手段として新宿へ向かう事となった。そう、つまり私はあの発売日の混乱ぶりをリアルで体験しているのである。

 

しかし、当然新宿の量販店などは早朝どころか徹夜で並んでいる猛者ばかりであったので、買えるはずもなく。半ば諦めていた所なんと通りすがりの方から新橋のキムラヤにおける引換券を頂いたのだ。おそらく落ち込んでいる自分を見かねてだったとは思うのだが、ほとんど奇跡に近い出来事だった。早速向かい、本当に無事に購入する事が出来た。そして夢にまで見たドラゴンクエストIVのカートリッジである。当時はそれほどまでに発売日におけるドラクエの入手というのは困難な事であったのだ。

 

内容に関しては今更語るまでもないが、連休中に一気にやり込んだ事もあって第5章までは進む事が出来た。前作に比べると謎解きは少なかったが、唯一分からなかったのはゴットサイドぐらいだったかと思う。そこでしばらく詰まってしまったので、ある人からヒントを聞きようやく進める事となったが、このおかげで他の人よりも大分クリアが遅れてしまったものだった。

 

それでもIIIと比べると大分早く、8日ほどでクリアはする事が出来た。しかし、自由度の高さが売りだったIIIと比べると、IVはストーリーもパーティもほぼ固定なため、実は発売当初の評判というのは賛否両論であり、正直否の方が多かったと思えたほどだ。そんな自分も、前作と比べると比較的あっさりと終わってしまった印象もあり、少し物足りなさを感じてしまったほどだった。

 

BGMも、前作の「冒険の旅」や、「おおぞらをとぶ」、そして「勇者の挑戦」と言ったシリーズそのものを象徴するかのような代表曲がなかった事もあったか、自分的にはいまひとつだった。ただ、それでもさすがにサントラの出来は素晴らしかった。この時はわざわざ自分で予約しに行ったほどであるが、ちょうど世の中がレコードからCDに入れ替わった時期でもあり、私の家庭でも遂にCDを導入した頃であった。そして、このドラクエIVのサントラは、ゲームミュージックとして初めてオリコン1位を記録という金字塔を打ち立てた。

 

ぶっちゃけ当時はオリコンなんてよく知らなかったが、CD屋にてこれが1位となったというラジオを聞いた覚えがはっきりと残っている。同時期のグラディウスIIIのサントラが26位が快挙と騒がれたが、ドラクエは堂々の1位である。もちろん、プレイ分母が違いすぎる訳であり、それを考えたら前者の26位というのもめちゃめちゃ快挙である。そして、この頃からゲームミュージックが完全にいち分野として認められ、CD屋でもはっきりとゲームミュージックコーナーが作られる事となっていった。

 

 

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