思い出は美しく ~FF3ピクセルリマスター体験記①
私の初FFは、おそらく小5の時、FF3だった。
遠い昔のことで記憶があいまいだが、一番最初は私と姉と母とで近所の本屋に行ったのが始まりだった。
確か姉は単行本で買っているマンガ(『あさりちゃん』だったような…)があり、最新刊を買いに行ったのではなかったか。
姉にだけ買い与えると不公平になると思ったのか、母が、「あんたも何か欲しい本見つけて来なさい」みたいなことを言われたのだと思う。
当時の私の関心はほとんどファミコンか恐竜だったから、ファミコンの攻略本のコーナーに行って、ソフトを持っているわけでもないのに、FF3の攻略本を買ってもらったのだった。
なぜFF3だったのか、これもよく覚えていない。
天野喜孝画伯の独特のタッチのイラスト、「剣と魔法とモンスター」という王道ファンタジーの世界観、そういうものに惹かれたのかもしれない。
ソフトは持っていなかったが、攻略本を見ているだけで私は満足だった。
巻末にすべてのモンスターがイラストとともに一覧になっていて、怪獣大好きの私は真似してイラストを描いたりしていた。
しばらくたったある日、当時一番仲の良かったクラスメイトのN君が、「ファイナルファンタジー3って面白いぜ。」みたいなことを言ってきて、それに影響されて、「ああ、俺が持っている攻略本のアレか。あれ、面白いんだ。」みたいな流れになった(ような気がする)。
N君は、センスが独特で、流行りモノには目もくれず、独自の感受性で好きな物を自分で選ぶ、小学生にしては妙に大人びた少年だった。
だから、みんながドラクエをやっていてもFFを選んでいたし、みんながドラゴンボールに夢中になっていてもライトノベルの「ロードス島戦記」を愛読していたし(一方一番好きな漫画は「北斗の拳」というところで私と意気投合していた)、きわめつけは、みんなが遠足のおやつをチョコだのグミだのラムネだの、そんな駄菓子をキャッキャとはしゃぎながら食べているところに、一人だけ瓶詰のソーセージを取り出して、「腸詰ってのが一番うまいんだよ」とか言いながら楊枝でつついていた。
ね。独特でしょ。
でも、すごいよ。自分の好きなものをまっすぐに選べる人。
今どうしているのか、知らない。
進学した中学が違うので、何も分からない。
今日は成人の日だが、私が成人式をやるかやらないかぐらいのときに、「彼は今アメリカにいる」みたいな話を聞いた気がする。
うん。N君なら、異国の地で独自のセンスを武器に商売始めるなんて、ありえる話だ。
もう一生会う機会はないだろうが、5・6年生の時に同じクラスで、FF3と北斗の拳の面白さを毎日語り合ったN君。
どの空の下にいようと、どうか幸せでいて欲しいと願うばかりだ。
…、さて、ゲームの話に戻ろう。
小遣い貯めて買ったのか、誕生日やクリスマスのイベント時に買ってもらったのか、これも覚えていないのだが、とにかくFF3を新品で手に入れた。
定価では買っていないと思う。
ファミコンソフトも、型落ちというか、発売後しばらくたつと値崩れする商品があった。
まあ、当然だが。
それで、ある程度リーズナブルな値段で手に入れた気がする。
…価格のことをぼんやり覚えているのだから、やっぱり小遣いで買ったのかな?
印象に残っているのは、「色」と「音&音楽」。
色は、まず「白」。
白いカートリッジ。
スーパーマリオが黄色。
黒というのもよくあった。
でも、「白」って、珍しかった気がする。
少なくとも当時の自分が持っていたソフトの中にはなかった。
そして、「青」。
青いウィンドウに、白い文字。
これも、ドラクエが黒に白文字だった分、かなり斬新に感じた。
それから、「音」。
カーソルを動かしたときのあの音。
そして、言うまでもない、名曲の数々。
本当に、植松伸夫は天才だ。
30年経った今でも、しっかり私の脳裏に残っている。
…そして、2022年。
ついに手を出してしまった。
Steamに。
PCでゲームをやる、という遊び方に。
2021年中に、PS4で遊べるゲームのうち特に評判が良いものをあらかた遊んだのだが、3DCGに目が疲れてきた。
あと、やかましい&忙しいアクションにも。
もうついていけんわ。
というわけで、レトロな古き良きRPGを懐古的にやってみたくなった。
しかし、ドラクエの過去作は、昨年遊んだ3で十分。
なんかね、これはこれで面倒くさいのよ。
で、考えれば考えるほど、FFのファミコン&スーファミ作品、特に自分がリアルタイムで熱中した3~6をやりたくなった。
残念なことに、ピクセルリマスターはPCでなければ遊べない!
(私は携帯ではゲームはやらない)
散々迷った挙句、観念して、PCでピクセルリマスターやることにした。
で、3~6のどこから手を付けようかと思ったのだが…
やっぱり、ここは私の原点でもある3で!
昨日と今日が久しぶりの連休だったので、やりまくった。
…感動。
超感動。
面白い。
今遊んでも十分、面白い。
当時の思い出とか、小学生当時には理解できていなかった事とか、いろいろ頭を駆け巡って、最高。
ジョブチェンジシステム、いいじゃないの。
シンプルだけど、奥が深くて、ゲーム性がしっかりあって、本当に「ゲーム」として考え抜かれてる。
久々に遊んだけど、やっぱこれだよ。
これが、FFだよ。
3DCGからFFに入る世代も、この原点をぜひ味わってほしいなあ。
音楽。
神。
良すぎる。
言うのも野暮か。
いや、言わせてくれ。
いい。
すごくいい。
アレンジ、凝りすぎ。変態。
だって、フィールド曲とか、繰り返しの1コーラス目と2コーラス目でアレンジ変えてるとか、すごくね?
原曲のファミコン音源に思い入れがある人は「コレジャナイ」という反応の人もいるみたいだけど(気持ちはよくわかるけど)、俺は、これはこれで大好き。
現代の技術でよみがえった、でも中身はできるだけ原作通りな、でもちょっと遊びやすく調整も入っている、名作。
とても30年前のゲームとは思えない。
今やっても十分楽しめる。
ちょっと展開がぶっきらぼうだったり、ダンジョンの長さや制約がえげつなかったりするけど、それもこうして噛みしめる分には味わいだ。
武器や防具、モンスターの種類の多さは圧巻。
当時のハードのスペックとソフトの容量で、これだよ。
そりゃ、CGのクオリティで言えば現在のゲームとは天と地の差があるが、そういう問題じゃない。
作り手と受け手のファンタジーが共鳴するような体験が、このドット絵(と3和音)のRPGには詰まっているのよ。
これこそが、のちの作品画と続く偉大なる礎になっていったのよ。
しばらく、思い出を噛みしめながら、ピクセルリマスター3~6までやることになると思います。
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