ファミリーコンピュータを愛す・その34

長い間、ファミコンソフトを買える場所と言えば基本一件しかなかった。しかし、この89年ぐらいから若干選択肢が増えていき、特にチェーン店として全国展開し始めて行った「ブルート」なる中古屋が近所に開店してくれたのが大きかった。これにより、すでに新品としては市場から消えていた、過去の名作を後追いでプレイ出来るようになっていったのである。

 

その初期のゲームとしては、1987年に発売された「デジタル・デビル・物語 女神転生」があった。もちろんリアルタイムで記事は読んでいたが、まだまだ3Dダンジョンというものが敷居の高い頃の話であったため、買う気にはなれなかった。という訳で2年越しのプレイとなった訳であるが、当然自力でマッピングなどするはずもなく、ひたすら攻略本に頼ってプレイして行った。

 

しかし、元々の難易度の高さに加え、当然オートマッピングなど親切なシステムなどある訳もなく、普通にマップを見てプレイするだけでも簡単にはいかなかった。かの浜村氏も、「完璧な攻略本があっても辛い」と後のレビューでこぼしていたほどである。結局、マズルカの回廊辺りで諦めてしまったかと思う。

 

そして、ジャンプを毎週読んでいたという事はイコールドラクエIVの記事も読んでいたという事になる。一応、ゲーム自体は8月頃には完成していたと言われているが、当時は半導体の世界的な不足により、ROMの生産に非常に時間を要したために発売まではもうしばらく待たなければならなかった。ただ、章立てという謎のシステム、そして勇者以外は全員初めから名前が決まっているという仕様に、前作のファンからすればその時点で不満が募っていったものである。よって、ぶっちゃけ前評判もIIIほどは高くはなかったように思えた。

 

1989年末は、そんなドラクエIVの発売を控えていた事もあってか、各社さほど大作はリリースしていなかったと思う。覚えているものと言えば、この年から翌年の西暦を表記するようになった「ファミスタ90」と、「悪魔城伝説」ぐらいであったかと思う。私は前者だけプレイしたが、ここからプレイ中のBGMが一新された事、また色合いも変化した事により、大分雰囲気が変わったものだった。そして、ファミスタとしては初めてバックアップがついた事により、遊びの幅も広がった。私の知る限り、この90がファミスタの頂点だったと思う。

 

そして、年明けを迎えるともう世の中はドラクエIV一色となった。それを証明するかのように、この時期はファミ通のクロスレビューの数が目に見えて少なかった。当然、各社ともドラクエの発売日を避けていたからである。それほどまでにこの時のドラクエというのは巨大な存在となっていたのだ。

 

 

おすすめ記事