ファミリーコンピュータを愛す・その33
当然、MOTHERの攻略本も各社から発売されて行ったが、その中でも極めて秀逸だったのが公式ガイドブックである「MOTHER百科」だった。こちらはゲームの解説本としてではなく、実在の写真を巧みに使用したMOTHERの世界観そのものを楽しめるガイドブックであり、読み物として普通に成立していたゲームの枠を超える大変な名著であったのだ。2003年頃に復刻された事からもその完成度はお分かり頂けるだろう。
そのように、この夏はまさにMOTHERの夏であったのだが、プロ野球も大変な盛り上がりを見せており、野球ゲームもまだまだ元気な時代であった。口火を切ったのはやはりファミスタであり、シリーズとしては初めて夏にリリースされ、遂にファミスタが正式名称となった「ファミスタ89開幕版!!」であった。基本88ベースであるが、こちらはエディットモードがさらに進化しており、既成の選手を再現なくエディット出来るようになった。
そして、パスワードも復活、さらにPCE版ワースタで初登場したOBチームとアニメチームがファミコン初参戦。特に後者は圧倒的な強さを誇っており、「バットを振ればどんなクソボールでも当たる」という鬼仕様もそのままである。
タイトーからは「ハリスタ平成元年版」が発売。こちらはゲームカタログでクソゲーの烙印を押されているが、私的には割とそこそこは楽しめた。ジャレコからは「新・燃えろプロ野球」も発売されたが、こちらは投打の画面がありえないアングルであったため、さすがにこれは買う事はなかった。斬新さを狙ったのだろうが、せっかく前作が素晴らしい完成度を誇っていただけに、これは残念な出来だったと思う。
MOTHER以降はしばらく目ぼしいものはなかったが、秋になってドラゴンボールシリーズの3作目が発売された。当時はナメック星編がスタートしたあたりであったが、それはドラゴンボールを読んでいない男子などあり得ないぐらいのレベルで、毎週ジャンプを楽しみにしていたものである。そして、それまでバンダイのゲームと言えばクソゲーでしかなかったが、この辺りから次第に遊べるゲームもリリースしていく。そのうちのひとつがこの「ドラゴンボール3 悟空伝」である。
正直、漫画をベースに進んでいく以上、基本ストーリーはすでに知ってしまっている訳であり、もちろんそれはあまり面白くはないのである。しかし、前作から導入されたカードバトルが非常に秀逸であり、また戦闘時のアニメーションも素晴らしく、そのストーリーの物足りなさを十分に補うレベルであった。また、フィールドや戦闘のBGMも非常に良いので、これもYouTubeで確認してもらえればと思う。
当然、完全な一本道であり、2回目などは到底やる気も起きないゲームなので、コスパという点では悪いとしか言いようがなかったが、それまでのバンダイの印象を変えた一作と言えた。
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