アーケードアーカイブス ゼクセクス

昨年のグラディウスIIIに続き、今年も最後のリリースはコナミのシューティングである「ゼクセクス」となった。かつて、沙羅曼蛇ポータブルに移植された事はあったものの、据え置きとしては初の移植である。実に発売からちょうど30年後の事であり、当時はまさか移植まで30年待つなど思いもよらなかったものだ。

 

そのアーケード版オリジナルの存在が公になったのは、記憶にある限りでは「ザ・ベストゲーム」の裏表紙であったかと思う。それから7月頃に詳細が発表されていったのだが、あのグラディウスIIのスタッフが再結成されたという事もあって、ゲーメストでは巻頭で扱われたりと相当プッシュされていった。

 

そして、10月に発売を迎え、私は今は亡き町田のジャレコ直営「プレイタウンYOU2」にて初めてその姿を見る事が出来た。今見ても通用するであろう1面の背景は非常にインパクトがあり、皆そのグラフィックに目が釘付けになったものである。ただ、そのゲーセンはハイスコアラー御用達であり、まだ初心者な私がプレイするのは小っ恥ずかしかったため、別の大きなゲーセンで初めてプレイして行った。

 

友人が初プレイでいきなり4面ぐらいまで行ったのに対し、私は割とすぐにゲームオーバーになってしまったので、初日は悔しい思いをしてしまったのだが、正直言ってしまうとそれほど面白いとは思えなかった。言葉では表現しづらいのだが、1,2面が簡単すぎて飽きやすい事、4面ぐらいまではランダム性が薄く毎回同じパターンで進む事などが、直前までプレイしていたグラディウスIIIに比べるとどうしても熱中性に欠ける部分があったのだ。

 

また、ステージ毎の印象がバラバラであり、イメージとしての統一性に欠ける部分もあった。初代グラディウスの発売時にもそれは指摘されていたようなのであるが、こちらはそこまで突拍子のないステージはなかったし、また毎回空中戦がある事もイメージの統一性に成功していたのだと思う。しかし、ゼクセクスに至っては本当にバラバラなので、どこか集中力的にも希薄となってしまったものだ。

 

そして、当時はストリートファイターIIのブームの真っ只中であり、カプコンはそれ以外にもキャプテンコマンドーなど良質ゲームをリリースしていたまさにカプコン絶頂期。同時に、それまでゲーセンの華であったシューティングゲームは一気に斜陽となってしまった事も運がなかった。そんな事もあって、ゲーセンからは早々と消えてしまい、期待値の高さとは裏腹に短命なゲームとして終わってしまったのだ。

 

なんか悪い事ばかり触れてしまったが、それでも上記のようにグラフィックは当時のレベルを完全に凌駕していたし、フルPCMのサウンドもゲーム基板の範疇を完全に超えていた。もちろん、サントラCDもオムニバスではなくゼクセクスのみの収録であったし、なんども繰り返し聴いて行ったものである。

 

そして、このゲームを語る上で忘れてはならないのが、あのビジュアルシーンである。CD-ROM使用でないにも関わらず、OPであれだけの長い時間喋るというのは他に類がなかったのではないかと思う。あまりにも有名な面クリア時のデモは、さすがに小っ恥ずかしい面もあったので、当時はほとんどスキップしていったものだ。

 

以上のように、売り上げこそ芳しくはなかったものの、色々な意味でアーケード史にその名を残したゲームである。そんなゲームが遂にアケアカでプレイ出来るとは何とも喜ばしい事だろう。PS4であれば目立った入力遅延もないし、今見てもグラフィックは全く見劣りしないので、リアルタイム世代以外にもおすすめである。