ファミリーコンピュータを愛す・その36

クリアしてもアイテム探しや、新たなキャラクターの育成などで長く楽しめたドラクエIIIとは異なり、IVに関してはせいぜいレベルを上げ続けるぐらいしか楽しみがなかったので、ユーザーの間ではそのあたりへの不満が渦巻いていたものだった。特に、ファミコン必勝本にて連載されていた「ドラゴンクエストIV・マスターズクラブ」などではかなり狂信的な信者が多かったので、その辺りで大分議論が交わされていたものである。

 

まあ確かに、謎解きを知っていればあらゆる進め方が出来た前作まで、特にIIなんかとは異なり、IVは何度プレイしても同じようなルートにしかならなかったのは確かである。現在のRTAチャートなどでは、かなり奇抜な攻略がなされているとは言え、当時はそんな事はまるで思いつく事もなかったのだ。

 

そして、レベル上げに関して言えば、このシリーズにおいて初めてメタルキングが登場し、さらに聖水が全ての防御力と耐性を無視してダメージを与えられるので、シリーズにおいても屈指の経験値稼ぎが行えたものだ。これに関しては自分自身で発見する事が出来たので、メタルキングとはぐれメタルの組み合わせなら経験値5万以上も狙えたものである。まあ、結局は勇者のレベルが78ぐらいまで到達した辺りで、やはりというか冒険の書が消えてしまった。

 

なので、結局このドラクエIVも複数回プレイして行ったものであるが、やはりその度に第1章からというのは至極面倒くさいものだった。トルネコの章などは転売のコツを覚えれば1時間ちょいで終わらせる事が出来るとは言え、当時はそこまでのノウハウを構築できるほど頭も切れてはいなかったので、そこまでの時間の短縮は出来なかった。

 

そして、この当時はやはりドラクエと言えばロトシリーズの人気が根強かった事もあり、新シリーズとなったドラクエIVは相対的に評価も低くなってしまった。これまで挙げてきた欠点のほか、やはり一番不満に上ったのはAI戦闘だった。特に、明らかにザラキの効かないボスに対して執拗なまでにザラキ、ザキをかけ続けるクリフトには至極うんざりしたものである。

 

これに関しても上記マスターズクラブにもっともな意見があり、「その相手にザラキが効かないことを、ゲーム中の”誰”が知っているのですか?効きもしないくせに、というのはそのゲームの世界に入れ込んでいない証拠ですよね」というのがあった。確かにそう言われれば納得は出来るのであるが、ぶっちゃけそこまでゲームのキャラに入れ込んでプレイしている人などは基本ほとんどいないのである。なので、大方の意見としてはとにかくクリフトのザラキはうざい、で一致していた。

 

そして、当然使いたい時に使えない呪文やアイテムも多く、特にスクルトやフバーハなどの補助系呪文、ミネアの「銀のタロット」などアイテムとして使用できる武器などは、かなりの使用制限がかかる事となってしまった。なので、このおかげでほとんどお目にかかる事が出来ない死に呪文が大幅に増えてしまったのである。

 

このIVは、皮肉にも微妙な評価の続編が発売されていく毎に評価を上げていき、特にファミコン版の欠点がほとんど解消されたPS版の発売以降は一気にファンを増やす事となり、今ではシリーズ屈指の人気作にまでなった。しかし、これまで述べてきたよう、当時の評価はそれはそれは散々だったのである。

 

 

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