ファミリーコンピュータを愛す・その38

何度も苦労しながらFFIIもクリアすると、あとはFFIIIを待つばかりであったのだが、ソフトを返したあともキャラクターの魅力とマゾなゲーム性に次第に惹かれていった私は、町田のキムラヤに訪れた時に2980円という新品価格もあって買ってしまった。まあ、やはりせっかく育てたプレイヤーを人に返してしまうというのはさすがに寂しいものがあった、というのも確かである。

 

しかし、当時はFF以外にも気になるゲームが実はあった。それは「ベストプレープロ野球II」である。こちらはスコアボードのみでゲームが進行していく通称「SKIPモード」が追加されたため、130試合を終わらせる事が容易となったのだ。さすがにまだ両リーグ同時進行こそ出来なかったものの、これはとてつもない進化である。それ以外のゲーム性に関しては前作でほぼ完成していたため、目新しさはなかったが、これにより完全に記録好き野球ファンの定番となっていった。

 

そして、FFに戻るが、FFはそのボリュームの割に、発売発表から発売までのサイクルがドラクエと比べると異様に短いイメージがあった。このIIIも例に漏れず、発売日発表からしばらく音沙汰なかったと思ったら、発売1ヶ月前になっていきなりファミマガにおいて巻頭48ページの大特集、もちろん完成バージョンである。システムの圧倒的な完成度と美しいグラフィックにそれはそれは一気に期待値が高まり、さすがにこの時は取り置きをお願いしてもらったものである。

 

そして、前年のGB版「魔界塔士SaGa」に続いてスクウェア2本目となるミリオンを達成。公称140万本との事であったが、それでも当然300万本超えのドラクエには全く届かなかった。もちろん発売日に行列が出来る事もなく、その近所のお店でも普通に発売日当日に並ばずとも買えたぐらい在庫には余裕があったのである。

 

ただ、当時まだ保守的なイメージのあったドラクエとは異なり、新たなシステムとグラフィックを積極的に採用していったFFは、当時のファミコンソフトの中でも最高峰の出来であったかと思う。さすがに任天堂ROMなので拡張音源などは搭載されてはいないものの、MMC5という高速チップを搭載していた事により、FFIIの問題点であった戦闘のテンポが大幅アップ、非常にストレスフリーとなり前半はドラクエIV以上に楽しめたものである。

 

しかし、それを台無しにしてしまったのが後半であり、最終セーブポイントからボスまでの道のりがとにかく長く、最低でも40分ほどかかる。もちろん、エンディングを見てもゲームオーバーになっても、それまで得た経験値は全てパーになる訳だから、全滅しなくともどこか喪失感というのは拭えなかったのだ。この点に関しての有名なエピソードは、本当はセーブポイントが存在したものの、「これでは簡単すぎる」というテストプレイヤーの声にプロデューサーの坂口氏が激怒し、それをカットした、というのが定説となっているが、ゲーセンのロケテストしかり、テストプレイヤーは難易度に関して余計な口出しをしないのが正解、というのが良く分かる話だ。

 

因みに、クリアするだけであれば忍者2、賢者2の組み合わせが最良なのであるが、ジョブチェンジすると個性が消えてしまうのが嫌だった私は最後までナイト、竜騎士、導師、賢者とそれぞれ違う組み合わせでクリアしていった。なので、クリスタルタワーに到達してから実に10ぐらいレベルを上げる羽目となってしまったので、今思えば最初から最強の組み合わせで行けばよかったものである。

 

 

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